経営者保証ガイドラインの変更 その1

コロナ禍があけて会合の機会が増えました。
毎日体重計で、体重と体脂肪率を計測することで
しっかり体重のコントロールをしていきたいと思います。
令和05年04月から経営者保証ガイドラインの運用が変更になりました。
経営者保証とは
  
法人が借り入れをしたときに代表者(及び関係者)が連帯保証人になる
ということです。これを変更しましょう、という改正です。
過去にも平成25年に経営者保証ガイドラインが変更になったことがありました。努力義務規定ということもあり、あまり運用されず代表取締役が連帯保証することが当然として当時から現在まで継続されています。今回は「経営者の連帯保証を徴求するな」という訳ではなく
  
無保証(連帯保証人が不要)
   + 
連帯保証は徴求するけど、その理由を説明し、記録し、金融庁に報告する
を100%にすることが求められました。
→ つまり上記のどっちかにしろってことですけどね。。。
当該ガイドラインが変更された理由の大きなものとして
中小企業の後継者不足があります。
後継者になりたくない最大の理由が
  
代表者になることで連帯保証人になりたくない
ということです。
そのため中小企業の社長の平均年齢はますます向上し
また新規創業もあまり活発でない世の中になりました。
中小企業がなくなると困る人は多くいますが
一番困るのは中小企業で勤務する労働者です。
日本の労働人口の約70%が中小企業で勤務しているというデータがありますし。では金融機関はどういった状況だと連帯保証を徴求しないていいのでしょうか?それには下記の3つの要件を充足する必要があります。

①法人と経営者との関係の明確な区分・分離

②財務基盤の強化

③財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保
少しだけ詳細に見ていきましょう。
①法人と経営者との関係の明確な区分・分離
今までは法人と経営者個人を分けて考えることはありませんでした。
例えば法人は儲かっていなくて借入金返済に困りそうだけど
個人財産は潤沢なので個人から法人に資金援助して返済できそうな場合は
まさに代表者を連帯保証人とすることで貸すことができました。
今後は法人と個人を分離し、法人の利益で借入金を返済することが必要です。
また金融機関としても貸し付けた資金が法人が借りた名目以外に使われては困ります。
そのため勘定科目でいうと仮払金・仮受金・役員貸付金のような
使途不明金があると法人と個人が分離されていないと判断されそうです。
さらに役員報酬や不動産賃貸料もついても世間相場からして
合理的な金額かどうかという判断も大切になってくると思われます。

②財務基盤の強化
こちらは以前からスコアリングと呼ばれていた
(数値的に若干の閾値の変更はあると思いますが)
各金融機関ごとにする定量的な数値判断です。
つまり借入金がどれぐらいの割合で返済されるかを判断する指標です。
個人的に特に重要な数値は
  
債務償還年数、自己資本比率
とかでしょうか。
他にも
  
流動比率
売上高経常利益率
なんかも好きです。


③財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保
金融機関から借り入れすると決算終了後に決算書を提出していると思います。
ただ
決算書の提出だけでは「適時」でも、「適切」でもない
と考えられそうです。
中小企業では多くの請求書・人件費etcが
1ヶ月単位で集計・計上されていると思います。
つまり最頻であったとしても
翌月に月次決算書を提出
すれば
こと足りるのではないと考えています。
また適切な開示という点では
  
部門別会計
  推移(特に売上・借入金)
  取引先別売上・仕入・外注
  etc
があればよいと思われます。
これらの①・②・③の要件と充足する法人は
  
外部からのガバナンスが効いた利益から借入金を返済できる

いい法人
ということになると思います。
国としてそういう法人を増やしていきたいという思いが感じ取れます。
少し長くなりましたので、税理士法人ドリームプラス
(及びTKC全国会)が①・②・③を充足するために
どのようなサポートするか?を次回に整理したいと思います。

【文責 : 梅川 大輔】